高校
明学大の先生による高3生への講義「教養原論」を行いました<第4回>
10月11日(金)、推薦進学コースの高校3年生に対して、明治学院大学文学部 英文学科教授の貞廣真紀先生が「教養原論」の講義をしてくださいました。
人文学からみた「他者」の観点から、「アメリカ先住民表象に注目して DEIを考える」をテーマに、講義が行われました。DEI(Diversity, Equity and Inclusion/多様性、公平性、包括性)について学び、考えました。
生徒の意見・感想を紹介します。
- 最初は、実写映画のアリエルが有名なディズニーアニメとは容姿がかなり違うため驚いた。しかし、黒人の女の子が黒人のアリエルを見て喜んでいる動画を見て私も嬉しくなった。ディズニープリンセスは声が重要という意見を聞いてすごく納得したし、容姿に関してはディズニーアニメとは別のものだと考えれば良いのかなと思った。
- 良い面だけの歴史ではなく悪い面の歴史も存在しているということを理解するべきであると感じた。単純に偉大なことを成し遂げたから偉人であるという安直な考え方では批判されるし、頭が悪いと思われる。私たちの目に入ってきやすいメディアなどが黒人や先住民族など、これまで差別を受けていた人をキャストとして使うのは、差別を無くそうという意味も含まれているとも感じた。
- 植民支配の歴史は、先住民との抗争の歴史だが、そういった歴史から目を背けず、向き合っていくことが必要だ。「エイプリルの七面鳥」の一部を見て、様々な人種が共存して生きていて、それこそがアメリカだということを伝えていた。苦手な家族と向き合って、人種関係なく協力して生きていくことで、愛が広がっていく姿が、とても素敵だと思った。七面鳥料理のように、様々な人種、国籍、思想を持った人たちが手を取り合って生きていける社会を目指していきたい。
- 中学の時に「ポカホンタス」を見たことがある。ディズニーが作り出したフィクションかと思っていたけれど、ポカホンタスが実在していたと知り、とても興味が湧いた。
- 映画は、ただ楽しいや面白いという捉え方をするだけではなく、登場してくる細かい演出にさまざまな思いが込められているということがわかった。これから映画をみるときはその映画が伝えたいことをよく考えていきたい。
- 行き過ぎたポリコレは逆に差別を意識させてしまうことがある。なんでもかんでもアジア人や黒人を起用すれば良いというわけではないと思った。
- リトルマーメイドにキャスティングされたのが黒人の女優だと知り、喜んでいる黒人の子どもたちの動画を見て、改めて口先だけでなく、行動にうつして差別をなくしていくべきだと思った。偏見により人種差別がおこってしまっていると考える。そのため、私たちはお互いを知り偏見をなくす必要があると考える。DEIの多様性、公正性、包括性について身近なところから考えていきたい。
- 今回の授業で扱ったような先住民に関する問題のように、一つの国だけでなく世界全体として改善していくべき問題を取り上げた映像作品は、国の制限なく視聴できるようになってほしい。このままでは日本では先住民などの問題と触れ合う機会を失い、関心を持たないことになる。また、実際に映像を見たあと、自分では気づくことができないような注目ポイントについて、他の人の意見を聞いて考えることができたのが良かったです。
- リトルマーメイドの実写映画を最初に知った時に、どちらかというと反対派だった。しかし、黒人の幼い子供たちがリトルマーメイドを見て目をキラキラさせているのを見て、こういうマイノリティを尊重した映画も大切なのだと感じた。世界的にマイノリティが注目され、少しずつ変化しつつあるが、まだまだ差別的な考え方や、多数派を尊重する文化が当たり前だと感じた。MMIW(先住民の女性と少女の誘拐・殺害事件を認知させるための運動)について初めて聞き、世界にはその活動を応援して、広めてくれる人がいることに驚いて、いろんな活動に目を向けたいと思った。
- ディズニー映画「アリエル」の実写で黒人のキャストが採用されたことについて世間からは批判の声も相次いだが、私は実際にこの映画を見て、ディズニープリンセスはビジュアルが全てなのではなく声や歌、その物語で構成されて作品ができているため、見てあまり違和感を覚えなかったし、見終わった後はアリエルにしか見えなかった。また、私は少し表現を変えてあることはとても面白いと感じるが、別の角度から見ると批判される部分も出てきてしまうとわかった。
- ポリコレのアリエルに対して肯定的な生徒が多かったのが印象的だった。私は、あの映画は人種差別ではなく、原作改変で叩かれていると思っているし、キャスティングの時点で私も見ようとは思わなかったからだ。ポリコレの押し付けは、原作が蔑ろにされると思う。
- アカデミー賞やハリウッドの話の中で、マイノリティについての改善話はあるが実際には変化がないことから、人は口だけで行動に移さないことが多いことを再認識させられた。またMMIWでは先住民女性が行方不明になっても無視して数字も隠していることに驚いた。今、私たちに求められているのは考えることではなく、動くことだと思う。現在の問題は少し前から言われ続けていて変わることはなく、誰も行動に移さないため解決しないのだろう。私一人が行動するだけでは何ら変わらないのかもしれない。しかし一人一人が現状を理解すれば大きな輪となり世界を変えるのではないだろうか。顔に赤い手形をつけた俳優たちのように、私ができることをしたい。
- 先住民のことを知っているつもりでも差別的になってしまうように、自分が何も気にせずにみていた世界が、違う角度から見ると差別的であると感じたりする。自分の考え方や固定概念が全て正しいというわけではないから、合っていると感じたことであっても一度疑問に思い、視点を変えて考えていきたい。
- そもそも私は大幅な原作改変は好きではない。アンデルセンとディズニーの作品は別物だと考えている(タイトルが違うし、あくまでも題材だと考えている)。だから、改変するなら同じタイトルで実写版とか銘打たないで、タイトルを変えてほしい。また、皆殺しにされなかったことへの感謝祭は、侵入して来た方が悪いのにと思った。
- わたしは今までディズニーの実写化について、原作に忠実な俳優を起用するべきだと考えていたため、リトルマーメイドの黒人の主人公や白雪姫の肌が白く無いということに違和感を覚えていたが、ディスカッションをする上で他の意見を知ることができ新たな視点を持つことができた。自分が良いと思っている表象も、別の角度から見ると否定されるものである可能性があるということを学んだ。多方面から物事を考えられるようになりたい。