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高3アカデミックリテラシーで明学大の先生による講義「教養原論」を行いました<第9回>

12月2日(金)、高校3年生推薦進学コースの授業「アカデミックリテラシー」で、明治学院大学社会学部社会福祉学科教授の和気康太先生が対面で「教養原論」の講義をしてくださいました。

「教養原論」全体の講義テーマ「『他者』と向き合う」を元に、「他者への理解-社会福祉学の視点から-」と題して講義が行われました。生徒たちはまず、社会福祉と地域福祉、水俣病について学びました。さらに、フィールドワークによって得られた水俣病患者の考え、思いを知りました。地域との向き合い方や、他者と共感することについて考えるきっかけになったようです。

生徒の意見・感想を紹介します。

  • 私たちのより良い暮らしを作るためには、自分の幸福だけを優先して考えるのではなく、他者の立場になって考えることが大切だと思いました。また、そのことに関連して「同感」はできなくても「共感」できるという言葉が心に残りました。私は今まで、他者について完全に理解することは不可能だと考えていて、諦めていました。しかし、「共感」はできるという言葉を受けて、自分にも社会福祉に貢献できることがあると思いました。
  • 水俣病の話は苦しくなるような内容だった。生まれた時からの一生を苦しめている人間の罪の歴史を風化させないよう、私たち若い世代が積極的に発信していくべきだ。
  • 社会福祉は一方向的に考えるのでなく、双方向で考える問題であるべきだと感じた。自立と共生を目的としているため、手助けをしすぎるとかえってその人に迷惑をかけてしまうことに気をつけるべきだと思った。私達は目に見える問題ばかりに気を取られがちだが、現代社会では目に見えない問題にも注意をする必要がある。社会福祉も昔と現代では捉え方が違うことにはとても驚いた。昔の社会福祉の在り方を知れば、現代の問題の解決策のヒントになるかもしれない。
  • 地域共生社会をとる形に至るまでに、個人貧と社会貧のどちらが貧困の原因なのか、など多くの議論を重ねた結果が地域共生社会だと感じました。そして、この形で国民が暮らしやすい保証制度をつくる事に力を注いでいる人たちに、改めて感謝の気持ちが湧いてきました。課題はまだ多いが、自分も貢献できる立場になりたいと思いました。
  • 授業で公害について勉強をする際に水俣病とその原因は学びましたが、写真や、水俣病の人の映像を見たのは初めてだったので、思っていた以上に辛いものでした。地域福祉の意義とそのことに対する住民参加が何よりも大事だということを学びました。同時に、水俣病に対して工場に抗議をしている当時の人々の映像を見て、自分がいかに地域に対して向き合ったことがないかに気がつかされました。もう少し地域の人との繋がりを大事にし、地域の取り組みに参加していきたい。
  • 現代社会において、社会的弱者と呼ばれる方々への援助はすべきことたが、それに加え、『共感』し共生するべきと理解することも大変重要だと気付かされた。これから大学生になることでさらに広い社会を知ると思うので、同感ではなく「共感」することを目指し、地域・社会というコミュニティーの一員としての責務を果たしていきたい。
  • 地域福祉とは自立支援のことで、みんなが役割や生きがいを持って生きるという地域共生社会にもつながるということを初めて知りました。目に見えないニーズは見つけること自体が大変なので、社会全体が視野を広げ、助けを求めている人自身も発信していくことが必要だと思います。他者への理解には信頼関係や相手へのリスペクトが大切なのだと知りました。
  • 例に挙げていた「水俣病」が生んだ地域社会の分断・対立・孤立といった問題を解決し、起こさないようにするためにも、地域福祉の存在というのは更に大事になってくると思った。
  • 他者理解は難しいことだけれど、同感はできなくとも共感はできることを知りました。水俣病をめぐって様々な意見や対立があったように、地域内での団結は難しいけれど、信頼関係や畏敬の念、社会福祉学的想像力を持って接していくことが大切なのだと感じました。私も水俣病について自分事として考え理解していきたい。
  • 公害で被害を受けた人たちへの補償などの対応が厚くなっていってほしいと思った。また、スウェーデンは高齢者への補償が厚く、税金が高いという話を聞いたことがあるが、高齢者への理解が強い国は素晴らしいと思ったし、バリアフリーなどの設備の面でも理解を示していくことがとても大切になってくると思った。
  • 以前は貧困になることは自己責任にされていたけど、貧困になるのは環境が悪いからということで社会福祉ができた事を聞いて、社会福祉が成立して良かったなと思いました。最近、日本の16分の1の子どもがヤングケアラーだというコマーシャルを見ます。私ぐらいの年の子が遊びにもいけず、家に帰って家族の介護や家事などをしていると考えるとすごいと思いました。そんな子にも社会福祉が適用されるようになって欲しい。
  • 水俣病だけではなくさまざまな障がいを持った方がこの世の中にはいるけれど、私はどこか別の世界の人のように感じてしまっていた。しかし、もっと自分から知ろうとし、共感しようとする姿勢が彼らの助けとなっていくのだとわかった。その輪がどんどん広がっていけば地域共生社会も達成していくのだと思う。そしてそのためには障がいの有無に関係なく同じ空間で授業を受ける時間が必要だ。
  • 児童福祉や障害者福祉、高齢者福祉はそれぞれ別の福祉社会の枠組みだと思っていました。しかし、この考え方は社会的排除であり、これが地域福祉を考える上での課題だという事を学びました。また、目に見えないニーズを対象にすることが現代の地域社会の目的を果たす上で大切なことだと知ることができました。地域社会をより良いものにするには、個人がエンパワーメントされる、するの双方向性が大事と知りました。最近は有償ボランティアが増えていて若者をはじめとする個人参画が活発になってきているという事を知り、個人の参画など何もできていないと感じました。
  • 今まで個人貧として考えられてきたけど、社会福祉が広まって社会貧となった時に初めて誰もが関わっている意識を持てるのではないかと感じた。表面上のニーズだけでなく、目に見えにくいニーズにも向き合える社会をつくるために一人一人の意識と姿勢が問われているということを学んだ。また、ニーズアセスメントにおいて他者への同感はできないが共感はできるというのがとても印象的だった。違いをしっかり理解して、相談を聞くときなどに活かせるといいなと思う。
  • 被害にあった人にしか分からない痛みを心の底から理解することは私には難しい。しかし、そのような人の気持ちを共有し、共感することで他者にとっての生きやすさとは何なのか考え、様々な問題解決に繋がるのではないかと感じました。