高校
明学大の先生による高3生への講義「教養原論」を行いました<第5回>
10月18日(金)、推薦進学コースの高校3年生に対して、明治学院大学文学部フランス文学科の鈴木和彦先生が「教養原論」の講義をしてくださいました。
人文学からみた「他者」の観点から、フランスの標語「自由 平等 友愛」を事例に、講義が行われました。
生徒の意見・感想を紹介します。
- フランスの文化やフランスの音楽を聴いてどう思うかなど、フランスに関するところから人間の性格や習性などに着眼し関連付けて授業が行われたため、わかりやすく、面白かった。やはり他国について知るということは自分の価値観や考え方を変えてくれるため、とても楽しい。
- 他者の定義が、「困っているかもしれない人」ということに感銘を受けた。困っているかもしれない人に全員が気づけるわけではなく、気づける人がすばらしく、そのような人になれるように普段から経験をたくさん積みたいと思った。紹介されたフランス語の歌で、友愛という意味の深さに気づくことができた。また、友愛は後から付け足されたことから、人は友愛を忘れがちなので意識しようと思った。
- 〝言葉では覚えないことが大事〟という言葉が心に残った。自分自身も、言葉では理解が軽くすぐに忘れてしまうことがよくある。しかし、行動の中で気づけたことはずっと心に残り、理解できるのでとても共感をした。また、イト・ナガさんの逆の立場で考えるということは当たり前のことを言っているようで、物事の真理を突いているなと感じた。
- 大事なことはとっくに学んでおり、最初に学んだことを思い出すことが大切。フランスの「自由 平等 友愛」の3つから「他者」について考えるために、E.Jの歌を聞いた。初めに聴いた時はサッカーで盛り上がっているフランス人の感情を表している歌かと思ったが、実際には歌詞に出てくるポグバ、ムバッペ、カンテの3人のアフリカ系フランス人のサッカー選手を通して、フランスの人種差別を風刺した歌だと聞いてとても驚いた。
- 最初の、 “do for others” よりも “do as an other”のほうが大事だと思う、との話にまず惹きつけられた。「他者」の定義が、困っているかもしれないという状態だからこそ手を差し伸べるために、自分がまず「他者」になるという言葉に感心した。自由、平等、友愛は並んでいるのではなく友愛に支えられた上で自由、平等が生まれるということにも納得できた。
- 世界人権宣言は、フランス人権宣言や1848年のフランスの憲法がルーツとなっていて、フランスは世界で最初に人権を定めた国だと知り感動した。
- 言葉で語ることが全てであると思ってしまっていたが、何度も言われていることはなんとなく軽く聞こえてしまうし、大切さが薄れてしまうことがあるから、言葉よりも行動が大事だと知った。困っているような人がいたら励ましの言葉をかけておしまいではなく、行動をしていかなくてはいけない。自分が辛かった思いは必ず他者を助けるために生かされるという言葉を聞いて心が軽くなった。
- 大事なのは言葉(自由、平等、友愛とは)ではなく、行為や考えを見逃さないこと。それが大切だと思った。日常生活の中で思う自由は、本当な自由なのかと考えるきっかけになった。私は友愛の精神を大切にして、人々と関わり合いながら、これからの日常生活を送っていこうと思った。
- フランスには、音楽で国を揶揄するバンドがあることにびっくりしました。日本では音楽で風刺を行う人は現代にはあまりいないので、フランスの文化に触れられてとても面白かったです。他文化に触れることは楽しいのだと感じました。
- フランスがワールドカップで優勝したときにムバッペが貢献していたのを見ていたが、その裏で人種差別の問題が再燃していたとは知らなかった。フランスは「自由 平等 友愛」を原則にしているが、人種差別は根強く残っていて、白人に対して利益を生み出したり、役に立ったりしたときだけまるで人種差別がなかったかのように、感謝して仲間だと認めたふりをするのはどうかと思った。前回のワールドカップでも、差別するような言動があり炎上していたことが印象に残っている。サッカーは、相手をリスペクトして競うスポーツのはずなのに、結局、差別は変わっていないのだと落胆した。差別がなくなることは難しいだろうが、目標として足並みを揃え、常に根絶を求めていくことが大切だと考えた。自分はすごくて、偉くて頑張っていると思いたいがために、誰かと比べて、誰かを悪く言うという人間の実態が感じられた。
- フランスは我々が見ている表面上ではとても綺麗でおしゃれな人々ばかりで平和な国だと思っていた。オリンピックでのセーヌ川や移民問題など、裏側のフランスの破片を見ることができた。物事がどうなっているのかよく考えて深読みする力がとても大切だと思う。
- 先生がおっしゃっていた、自分の安心できる居場所にあぐらをかいているのは嫌だ、という言葉にすごく共感した。自分の友達がいない環境に足を踏み入れるのは勇気がいるし、一人で何かに挑戦するというのは難しいことだけれど、そうやってためらってばかりいたら自分のやりたいことができなくなってしまう。
- フランスの3人組バンド E.Jの歌の中では、何回も自由や平等、サッカー選手の名前の言葉を繰り返していて、政治的な問題を解決できていないことを表しているとわかりました。今、日本のアーティストは、なかなか政治的なことの発言はタブーになっていて、歌詞にするのは難しいと思うので、とても影響力のある歌だと感じました。
- フランスを象徴する、自由・平等・友愛の言葉は多くの意味が含まれていることを知った。この3つは並んでいるように見えて、友愛だけは独立して存在している。フランス人宣言などから分かるように、最初は自由と平等が重要視されていた。その半世紀後の憲法で、初めて友愛が取り上げられた。ドラクロワの絵にあるように、民衆を導く自由の女神は後ろを向いて、まだ自由を手に入れていない人々を確認している。これこそが友愛を表している。私たちは自由と平等は生まれながらに持っていたとしても、友愛の思いは自分の力で身につけるしかない。今後の人生で、より多くの人と接することになるだろうが、友愛の思いを持って生きていきたい。