高校
明学大の先生による高3生への講義「教養原論」を行いました<第3回>
10月4日(金)、推薦進学コースの高校3年生に対して、明治学院大学心理学部心理学科教授の野村信威先生が「教養原論」の講義をしてくださいました。
「教養原論」全体の講義テーマ「『他者』と向き合う」を元に、講義が行われました。生徒たちは講義を聞き、他人の心を知るためにより有効な手法についてメリットとデメリットを考え、グループでディスカッションを行いました。意見を交換することで、課題についてより考え、自分の意見を持つことができたようです。
生徒の意見・感想を紹介します。
- 一番印象に残ったことは、他者を理解するのに必要なのは数値か語りかという問いでした。私は語りの方がその人の言葉や表情から心を知ることができるが、数値化からでは多数の意見が尊重され、少数の意見は異端者のように扱われているような気がした。他者を理解するためには個人と向き合うべきということから、語りの方が有効だと考えた。周りの人達も語りの方が他者を知ることができるという意見が多く、もっと意見が割れると思っていたので驚いた。
- 教養とは知識の網の目で、いくつもの知識が結びついて初めて教養になるのだということを知ることができよかったです。心理学であっても、人間の心を直接観察することはできないのは、きっとその人にしかわからない感情があり、1人1人感じていることが違うからだと思いました。人のこころを数量化するのは難しいけれど、語ることによって他者を理解できるように思いました。
- 数値化をすると根拠が存在するようになったが、詳細や人の感情の細かなところはわからない。しかし語りを聞くと細かなニュアンスが伝わりよりわかりやすくなるが、根拠はない。しかし私は語りを聞くほか、いい方法がないと思う。
- 他者の心や、人の行動原理を理解することは心理学でも確実な結論を出すことは難しいとわかった。数量で見るか、質で見るか、その二つの違いにもメリット・デメリットが存在し、人の心は奥深いなと感じた。占いなど、統計による人の心理を見ることも、正解かは分からず、心理を読んだとは言えないと聞いて、ごまかされているなと思った。また、統計学では因果関係は分からず、相関関係までしか理解できないと知って、人の心理を理解するのは、人の真理を理解するのと同じだと考えた。
- 私は人をすぐに数値化してしまうところがある。最初の偏見で人を嫌っていても、何回か話すたびに、その人のことが最初の偏見とガラッと変わったことが多かったので、すぐに数値化して決めることはやめようと思った。
- 心理学はヒトのこころを言い当てられるか、という問いにはまだ答えが見つからないのが本音だと思う。事実や論理的な部分に目がいく私達が、目に見えないこころを追求し確率論で真実を言い当てることには物凄く興味を持った。また、他者を理解するのには語りが有効だと感じた。数値では読み取れない人間の本音やジェスチャー等細かい部分を探るには言葉を交わすことが必要だと思う。
- 他者を理解するのに必要なのは「数値化」だと思う。メリットは、データとして出すことである程度の傾向や予想ができ、年代や性別などの条件を変えることでさまざまなこころを知ることができる。デメリットとして、データを出すためにさまざまな人の協力を仰いだり、時間がかかったりすることがあげられる。また、一概には人が数値化されたものに当てはまらないということだと思う。
- 答えを見つけたり、結論づけたりすることにおいて確率的(統計)的か質的が良いかは、学問や、場面や状況によると思いました。授業に出てきたように、心理学は確率的(統計)的に真実を言い当て、医療などは統計的に考えることで答えを導きやすいが、芸術や、誰かの心が関わってくると、それは人それぞれ考え方や思いがあります。質的、語りどちらも用いるべきだと考えました。
- 特に印象に残ったのは占いの話で、科学的根拠はないものの確率論的に真実を言い当てることが可能と聞いて、それならば本物なんていないのではないかと考えてしまった。しかし、確率的に当てるのもそれはそれで、占い師の実力なのかとも思う。
- 語りは相手の意見を直接聴くことができるけれど、他者が話すのが苦手な場合や嘘をついている、矛盾が生まれるなど、正しい意見を聴けず他者の心を誤解して理解するデメリットがあると思った。数値化はあくまで数字であり人の心を細部まで表すことはできないし、目に見える情報だけで判断するのは人の心を理解できるとは言えないと考えた。
- 数値化の話は心理というより数学のようで、論理的に考えていくものが多くて少し驚いた。語りの話では、当たり前に思っていたことに「物語モード」という名前が付いていて、納得できたし、科学的に考えると違う考え方ができることに初めて気づけた。大学で心理学を学んでいったら、今以上にいろんな考え方や視点が得られると思った。
- 見せかけの相関について、統計学はとても便利でわかりやすいものであるけれど、相関関係と因果関係は同じではなく、とても興味深いと思いました。今後データがあってもその背景や状況をしっかりと理解して、結果をすぐに鵜呑みしないように気をつけたい。